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卵管因子(卵管障害)

卵管因子(卵管障害)

卵管は卵巣から放出された卵子を取り込み、そこで受精した卵子を子宮へと運ぶ細い管のことです。子宮の左右両側にあり、直径は細いところで1mm未満しかありません。その卵管が「癒着していたり」、「閉鎖していたり」、「炎症が起こっていたり」すると、卵子が待つ位置まで精子がたどり着くことができません。何とか受精できたとしても、その受精卵が子宮へと移動することは容易ではありません。そのような卵管のトラブルのことを卵管障害と呼んでいます。卵管障害を引き起こす原因に子宮内膜症もありますが、最も多い原因はクラミジア感染症です。

クラミジア感染症

クラミジア感染症はクラミジアトラコマティスという病原体に感染することにより起こります(性感染症)。

おりものや腹痛、出血などの症状が出る場合もありますが、初期では自覚症状がほとんどないため、慢性化して炎症が広がり、体に問題が発生したときに初めて病院で検査してわかるという場合が多いです。クラミジアは子宮頸管に感染し、炎症を起こします。その後、子宮内へと移動、そして卵管へとたどり着きます。クラミジアにかかってしまうと、子宮頸管炎、子宮内膜炎、卵管炎などを発症し、卵管を通り過ぎると、腹膜炎をおこすこともあります。治療は抗生物質の服用です。夫婦間での再感染を防ぐため、ふたりで受診・治療を行なうとよいでしょう。

卵管障害の主な検査は、卵管造影法があります。子宮内にカテーテル(細い管)を挿入し、子宮内に造影剤を流し込み、超音波やレントゲンで観察します(この際用いる造影剤はそれぞれ違います)。卵管の閉鎖やつまりがある場合は痛みを伴う率が高いといわれています。造影剤を卵管に流し込むことで卵管が広がり、癒着が改善される場合が多くあります。検査後に妊娠することもあります。

これらの検査で癒着などの改善が見られない場合、卵管の腹腔鏡手術、卵管鏡下卵管形成術などの手術、もしくは体外受精が効果的な治療法となります。卵管采に水がたまってしまう卵管水腫の場合は水を抜いてから体外受精という方法をとります。

子宮内膜症

子宮内膜症とは、簡単に言うと子宮の内側にある子宮内膜組織が、その他の臓器(卵巣や卵管、腹腔内、直腸の表面など)に発生し、増殖してしまう病気です。全身への影響はまだ不明な面が多いですが、免疫学的障害によって、卵子成熟のある段階に影響が出ているせいとされています。

月経期になると子宮内膜は剥がれ落ち、体外へ排出されますが、他の臓器に発生した場合は排出される場所がないため、出血した血液はその臓器内部にたまってしまいます。毎月出血が繰り返されることで、その部分が炎症をおこしたり他の臓器や組織と癒着したり、さまざまな症状を引き起こしてしまいます。

例えば卵管に発生した場合は卵管癒着を起こし卵管障害につながりますし、子宮の筋層に発生すると子宮腺筋症になり、それが原因で着床障害になる恐れもでてきます。卵巣内で内膜組織が増殖すると、血液がたまり卵巣が大きく腫れてしまいます。これが「チョコレート嚢胞」と呼ばれるもので、そこから排卵障害になってしまう人も少なくありません。このように、子宮内膜症は場所によって不妊の原因につながる恐れがあるのです。

診断方法としては、超音波、MRIなどの画像検査で子宮や卵巣に腫れものがないかどうかを調べることから始まります。子宮内膜症性嚢胞「チョコレート嚢胞」が見つかった場合、チョコレート嚢胞の癌化を未然に防ぐ目的もあり、腹腔鏡もしくは開腹手術を行う場合が従来は多かったのですが(大きさにもよりますが)、チョコレート嚢胞を切除すれば、かなりの数の原始卵胞を失い、卵巣予備能が下がることがわかってきました。このため、一律に手術をお勧めすることはできません。注意深く観察しつつ、不妊治療を進めていくケースが多いです。