
東京都の助成事業において、卵子凍結が対象となりました。
東京都が開催する説明会へ参加した方のみが対象となります。
対象になられた方は、必ずお電話にてご予約をお願い致します。
卵子凍結とは
近年、未受精卵子の長期間保存ができるようになりました。
卵子凍結は加齢などの要因により生殖能力が低下をきたす前に卵子を凍結することで、融解時に凍結時の卵子の妊娠する力を保つことができ、将来の妊娠・出産のために準備を行うことができます。
妊娠しない原因

一般的に女性の妊娠率は、35歳から減少し始め、その傾向は40歳を超えるとより顕著になります。
※妊孕率は、女性1,000人あたりの出生数(17〜20世紀のアメリカ、ヨーロッパ、イランなど10ヶ所のデータ:Henry,L.(1961).Some data on natural fertility.Eugenics Quarterly,8(2),81-91.)を元に、20-24歳を100%として計算した。年齢の増加に伴い(特に35歳以降)妊孕率の低下が認められる。データは平均±標準偏差で示した。(2016年12月12日一部内容を改訂)
実は女性の卵子は、男性のように都度新しく体内で作られるわけではありません。生まれた時に、一生分の卵子がすでに卵巣内に存在しています。そのため、加齢などの要因で、卵子の質と量も年々低下していき、異常な卵子の割合も増加していきます。
卵細胞の質と量の変化

卵子凍結は、現代の様々な理由で妊娠が難しくなる状況に対して、将来的に妊娠を希望する方へその道を閉ざさないための有効な手段となっています。
卵子凍結をおすすめする方
卵子凍結は、下記に当てはまる方におすすめです。
- 将来の出産のために、少しでも若い卵子を残しておきたい
- 今は仕事に集中したいけれど、将来は子どもを産みたい
- 将来のパートナーのために、できることはやっておきたい
- 病気による将来的な妊娠率の低下に備えて準備をしておきたい
当院は卵子凍結をご要望される方に全力でサポートを行っておりますが、卵子凍結はあくまでも万が一の時の保険です。卵子を凍結しているからといって絶対妊娠するという保証を得られるわけではありません。
将来お子さんをご希望の女性は、ご妊娠できる環境が整い次第、できるだけ早めに自然な妊娠をおすすめします。
それでも妊娠しなければ最終手段として若い時に保管しておいた卵子を使ってください。皆さまにかわいいお子さんが生まれることを心よりお祈り申し上げます。
年齢制限について
日本生殖学会の「未受精卵子あるいは卵巣組織の凍結・保存のガイドライン」によると、「社会的適応」に関しては、加齢等の要因により性腺機能が低下してしまう可能性がある場合は、本人の同意に基づき卵子を凍結保存することができると記載されています。
一般的には、凍結保存の対象者は成人女性で、卵子を採取する時の年齢に関して40歳以上は推奨されない、凍結保存した卵子の使用年齢に関して45 歳以上は推奨されないと記載されています。当院では、基本的に卵子凍結をする年齢を43歳までとさせていただきます。
参考
01. 一般社団法人日本生殖医学会、社会的適応による未受精卵子あるいは卵巣組織の凍結・保存のガイドライン
当院の特徴
より多くの卵子数を凍結し、妊娠率を高められるように
独自の方式・料金システムを採用しております。
近年の凍結技術向上で高い生存率で卵子を保存できるようになりましたが、凍結卵子がすべて将来ご妊娠に至るまでの卵子かどうかは分かりません。そのため、より多くの卵子を凍結しておいたほうが、妊娠には有利になります。
37歳で10個卵子が確保できたとしても妊娠、出産まで至るケースは50%前後となります。

採卵できた卵子のうち将来解凍して妊娠可能な胚まで育つのはその2~3割です。卵子凍結の理想の数の目安としては20代なら20個以上、30代前半なら30個以上が好ましい数です。
しかし、AMH値(卵巣予備能)によって卵子採取の数は変わってきます。月経周期によっても卵子採取の数は変動しますが、AMHが低いほど1周期にとれる卵子の数は少なくなってきます。「今現在の可能なかぎりの最大個数を取る」という気持ちで取りましょう。

当院では、1周期あたりの卵子数が少ない方にも何度か採卵を行ってもらい、なるべく多くの卵子を凍結し、妊娠の確率をあげることができるよう料金を設定致しました。

採取できた卵子の個数毎の
料金システムを採用
通常のクリニックは採卵数が1 個でも 20 個でも採卵料金は同額が一般的です。当院では、採卵数によって価格帯を決定しており、 1 周期あたりの卵子数が少ない方にも何度か採卵を行ってもらえるように配慮しております。
詳しくはこちら
当院独自の採卵方式で
より多くの卵子を回収
卵胞1 個 1 個を洗浄しながらとるという当院独自の採卵方法を採用しております。
とても労力がかかりますが、より多くの卵子を回収できる方式になります。

転居時の卵子の持ち出しが可能
移送等にかかる金額については、お問い合わせください。


取り違え防止システムの導入
患者様の卵子取り違え防止のためスタッフによるダブルチェックに加え「取り違え防止システム RIWitness 」を導入し、徹底した管理下で治療を行っております。
詳しくはこちら卵子凍結の流れ
採卵までの全体のスケジュール

初診時の流れ

01.受付 診察券をご提出いただき、問診票をご記入ください
02.医師の診察 卵子凍結のご説明を行います
03.検査 超音波エコー・採血によるホルモン検査を行います
04.治療方針決定 検査結果をもとに今後のスケジュールについてお話いたします
混雑具合によって2~3時間程度かかる可能性がございますので、時間に余裕をもってご来院ください。
採卵までの診察時の流れ

01.来院
02.ホルモン採血
03.医師診察
04.看護師から説明・注射など
05.次回の診察予約・会計
提出が必要な書類
- 治療開始宣誓書
- 住民票
※続柄入り・6ヶ月以内に取得したもの - 卵子凍結同意書
- 麻酔同意書
- 麻酔問診票
より多くの卵子を十分に成熟させて採卵するため、飲み薬と注射を用いて排卵をコントロールしながら卵子を育てていきます。ホルモン剤の種類や投与方法は卵巣の状態(超音波所見、 AMH 、ホルモン値など)や、年齢、患者様の希望に合わせて決定していきます。
採卵日

01.超音波器械を挿入
02.採卵針を使う
03.卵子を吸引・採卵
膣から超音波器械(プローブ)を挿入して、超音波画像をみながら卵巣の中の卵胞(卵の入った袋)に採卵針(採卵専用の針)を刺して卵胞液とともに卵子を吸引・採卵します。
当院では、卵子の回収率を高めるため、フラッシュ採卵という方法を取っています。詳しくはご来院された際に、ご説明いたします。
凍結保存

ガラス化法(VitrifiGation)という方法を用います。ガラス化とは“液体が結晶化することなく粘性が高まり固化すること”を表す用語です。耐凍剤濃度の高い溶液に卵子を浸した後、-196℃の超低温の液体に浸して凍結し保存します。-196℃では、ほとんどの細胞の化学変化が起こらないため、何十年も状態を変化させることなく保存することができます。

成熟卵(極体があり、成熟した卵子)
→このような卵子は凍結することができます。


変性卵(GV)・未熟卵(MI)
→このような卵子は凍結することができない可能性が高いです。
凍結に関しては、下記動画もご確認ください。
卵子融解について
卵子凍結後、パートナーができ、凍結した卵子で妊娠を望む場合は、卵子を融解し、体外受精の治療の一つである顕微受精を行っていきます。
一度凍結した卵子を融解し、顕微受精(卵子に精子をいれた針を刺し受精させる方法)を行い、受精→培養→再度受精卵凍結を行います。受精卵が凍結できた場合は、凍結胚を使用し、移植を行っていきます。
顕微受精について詳しくは下記をご確認ください。
「顕微授精(ICSI)」 を詳しく見る移植時の詳しいスケジュールは、月経中にご来院頂き、計画を立てていきますので、ご予約をお願いいたします。
(受付時間 平日 9:00~19:00 土曜 9:00~13:30)
料金について
使用する薬剤によって、料金が変動します。
全員対象
項目 | 料金 |
---|---|
AMH | 3,300円(税込) |
プランA
項目 | 料金 |
---|---|
準備費用 | 27,300円(税込) |
治療費用 | 298,000円(税込) |
凍結費用(卵子1個毎) | 15,000円(税込) |
合計 | 340,300円〜(税込) |
プランB
項目 | 料金 |
---|---|
準備費用 | 27,300円(税込) |
治療費用 | 244,000円(税込) |
凍結費用(卵子1個毎) | 15,000円(税込) |
合計 | 286,300円〜(税込) |
卵子凍結延長
項目 | 料金 |
---|---|
卵子5個毎(1年間) | 33,000円(税込) |
卵子移送
*国内・国外問わず搬出可能です。
*搬送先や日程によっては、当院のドライシッパーの貸し出しができない場合もございます。事前にご相談ください。また、搬出ご希望の場合は、2カ月前に当院へお申し出ください。
*搬出の際は、ご自身での移送又は移送会社に依頼してください。
*移送等にかかる金額については、お問い合わせください。
※採卵手術2回目以降のご希望の方は、値引きがあります。
※お体の状態によって、手術が中止になる場合もございます。
その場合は、手術代金+静脈麻酔代金¥100,000をご返金致します。また、手術後のお体の状態によっては、点滴+内服薬が必要となる場合がございます。その際は、追加でお支払い頂く場合がございます。ご了承下さい。
東京都の卵子凍結助成事業についてはこちらをご覧ください。
東京都 卵子凍結に係る費用への助成成功率と安全性について
融解後の卵子の生存率
論文によって数に差はありますが、凍結融解後の卵子の生存率は90~97%、受精率は71~79%、着床率17~41%、胚移植あたりの臨床妊娠率36~61%、融解卵子あたりの臨床妊娠率は4.5~12%でした。
(Fertility Steril2013; 99: 37-43)
また、卵子凍結の生存率は68.6%~89.7%、受精率は71.7%~85.8%、臨床妊娠率は10.8%~43.3%だとという報告もあります。
全体でみて、採卵できた卵子のうち将来解凍して妊娠可能な胚まで育つのはその2~3割と思っていただければと思います。
安全性について
排卵後のリスクとして卵巣過剰刺激症候群、採卵手術のリスクとして出血・感染症のリスクがあります。
卵巣過剰刺激症候群
採卵で使用する誘発剤により卵胞が多く育つため、卵巣が腫れ、お腹や胸に水が溜まってくる症状が起こるものです。重症化を防ぐため、内服・点滴などで症状改善を行う治療を併用して行う可能性がございます。
採卵手術
卵巣に針を刺し、卵胞から卵子を吸引していくため、出血や感染症などのリスクがあります。基本的には自然治癒にて改善しますが、重症化を防ぐため、内服・点滴などで症状改善を行う治療を併用して行う可能性がございます。
ガイドライン
社会的適応による未受精卵子あるいは卵巣組織の凍結・保存のガイドライン。
- 加齢等の要因により性腺機能の低下をきたす可能性を懸念する場合には、未受精卵子あるいは卵巣組織(以下「未受精卵子等」という)を凍結保存することができる。
- 凍結・保存の対象者は成人した女性で、未受精卵子等の採取時の年齢は、40歳以上は推奨できない。また凍結保存した未受精卵子等の使用時の年齢は、45歳以上は推奨できない。
- 本人の同意に基づき、未受精卵子等を凍結・保存することができる。
- 実施にあたっては、口頭および文書を用いて、未受精卵子等の採取、凍結と保存や、凍結された未受精卵子等による生殖補助医療(顕微授精)について十分に説明し、本人の同意を得るインフォームド・コンセント(IC)を実施しなければならない。
-
未受精卵子等は、本人から破棄の意志が表明されるか、本人が死亡した場合は、直ちに破棄する。また、本人の生殖可能年齢を過ぎた場合は、通知の上で破棄することができる。
未受精卵子等を、本人の生殖以外の目的で使用することはできない。 - 本人から破棄の意志が表明され、また凍結された未受精卵子等を本人が生殖医学の発展に資する研究に利用することを許諾した場合であっても、当該研究等の実施に当たっては、法律や国・省庁ガイドラインに沿い、ICなどを含めた必要な手続きを改めて施行しなければならない。
よくある質問
初診や不妊治療に関するよくある 質問は 下記にまとめてございますのでご確認ください。
詳しくはこちら卵子凍結のご案内
関連リンク