女性の体のしくみって?
女性は、一般的に月経開始から、次の月経がくるまで28日間あります。
月経開始から約14日目に卵胞(卵子が入っている袋)から卵子が排出され(排卵)、その卵子を卵管がキャッチ(ピックアップ)し、卵管膨大部という場所で子宮からやってきた精子と出会い受精します。
受精したあとは4~6日かけて卵管で成長し胚盤胞という時期に子宮内膜に移動し着床します。ここまで来たら妊娠です。
妊娠しない場合は、このどれかが行われなかったということになります。

基礎体温やホルモンの状態は?
基礎体温とは、生命維持に必要な最小限のエネルギーしか消費していない安静状態であるときに計測する体温のことです。基本的には、二相性といって低温期・高温期のサイクルが月経ごとに繰り返されます。
基礎体温が二相性ではない、低温期のままで一相性の場合は、排卵が行われていない可能性があります。
ホルモンとは、卵胞成熟や子宮内膜の増殖にとても大事なものとなります。主に、卵胞刺激ホルモン(エストロゲン)や黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌によって、卵胞発育、排卵や妊娠の継続が行われます。
基礎体温の、高温期が短めな方は、黄体機能不全の可能性を考え、一度ホルモンの検査を行ってみるのも良いと思います。
排卵日におこること
排卵日に近づくと卵胞は18-25mm程度の最大径を示すようになります。卵胞の成熟に従って、卵子を取り囲む顆粒膜細胞のエストラジオールの産生が増加していきます。エストラジオールの作用によって、月経時に薄くなっていた内膜は、その厚みを増し、超音波検査で中央に白線を持つ「木の葉」が観察されるようになります。厚さは8mm以上になります。エストラジオールの作用によって子宮頸管粘液(帯下:おりもの)は量が増加し、透明になり、糸を引くようになります。
エストラジオールの増加が脳下垂体に刺激を与え、LHが多量に生産されます(LHサージ)。このLHの増加を受けて、増加開始から約1日半後、増加のピークから半日後に卵子が卵胞から放出されます。(排卵)
排卵を促すには?
排卵の時期には、エストラジオールの増加が脳下垂体に刺激を与え、LHの多量産生が始まり(LHサージ)、このLH増加の影響を受けて排卵します。
一方、このLHと似た作用を持つヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)を注射することで人工的にLHサージを作ることが可能です。LHサージが始まっていなければ、この注射から1日半後に排卵が起こります。
またhCG注射の代わりに、GnRHアゴニスト点鼻薬を用いて下垂体からのLHサージを促すこともできます。排卵を促す際は、エストラジオールが十分な値で、卵胞径が18mm以上、子宮内膜が8mm以上の状態が理想です。
基礎体温の測り方
朝、目が覚めたらすぐに舌下(舌の裏側)に婦人体温計の先端部を入れて計ります。寝ている間の体温により近づけるため、動かず、ふとんの中でそのまま計りましょう。検温はなるべく一定の時間に計ることが大切です。起き上がらなくていいように、寝る前に枕元に体温計と基礎体温を書き込む基礎体温表を置いておくと便利です。
自分の排卵日を知ろう
排卵日は先に述べた基礎体温で大まかな予測がつきますが、そのほかの方法として子宮頸管粘膜で予測することも可能です。
卵胞が発育するとエストロゲン(E2)が分泌され、それにより子宮頸管粘液も増えてきます。膣内は細菌の進入を防ぐために酸性に保たれていますが、排卵日が近づくにつれ、精子の通り道となる子宮頸管はエストロゲンによりアルカリ性の粘液を多く分泌させます。そして酸性を嫌う精子の運動を促してくれるのです。その子宮頸管粘液は卵白のようなぷるんとした状態で、糸をひくようによく伸びるのが特徴です。
基礎体温に変化が現れたり、おりものの状態が変わってきたら、排卵日が近いか、もしくは排卵したということになります。また、排卵日を知る方法として、市販の検査薬で尿の黄体化ホルモン(LH)濃度を測り排卵日をある程度特定することが出来ます。病院で行う超音波検査や採血に比べて正確さは劣りますが、基礎体温表とあわせ、個人でできる排卵日のおおまかな目安として使うとよいかもしれません。
なんで妊娠しないの?
妊娠しない原因
- 排卵しない
- 精子が少ない
- 卵管にキャッチされない(ピックアップ障害・卵管閉塞)
- 受精しない(生殖時補助医療をして初めてわかる異常)
- 胚盤胞まで成長しない(生殖時補助医療をして初めてわかる異常)
- 着床しない(生殖時補助医療をして初めてわかる異常)
- 卵子自体が加齢している(染色体異常)

生殖補助医療をする前は①と②と③(卵管閉塞の有無)の検査しかありません。
つまりタイミングやAIHで妊娠しない方は④~⑦の異常がある可能性があります。

さて、ここで分かりやすく不妊原因、当院の検査の内容などを動画にて説明します。ご覧ください。

AMH(抗ミュラー管ホルモン)って?
AMHは女性の卵巣予備能を判断するもっとも有用な検査です。
思春期以降、女性の原始卵胞の発育に伴って、前胞状卵胞・小胞状卵胞の顆粒膜細胞からこのAMHが分泌されます。AMHは月経周期にあまり左右されることなく残っている原始卵胞とよく相関して、卵巣の予備能の目安になります。AMHは体外受精の際に採取される卵子数とも相関しており、体外受精における卵巣刺激法の決定の判断材料として有効です。
一方、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)評価や卵巣過剰刺激症候群(OHSS)予防のための指標としても有用とされ、注目されています。
卵巣予備能は年齢のみならず、個人差も非常に大きく、不妊治療に対しての効果の予測や、同世代よりも月経が早く終わる(閉経)かなど、卵巣に残っている卵子数を推定する検査として信頼性が高いとされています。
このように従来のホルモン検査と異なり、現在の卵巣の状況をある程度直接評価できます。
AMHの値は卵胞数を評価するもので、この卵胞内卵子の質を評価するものではありません。また、AMHの値が高ければ卵胞数が多いので、結果的に卵子が多く取れることが予想され、妊娠率が高まるとも言えます。一方でAMHの値が直接妊娠率を予測するものではないことも大切なことです。
妊娠率はあくまでも実際の年齢に左右されます。AMHが高いからといって35歳以上であればやはり妊娠(不妊治療)を急がなくてはならないことは今まで通り変わりません。反対にAMHがとても低い方でも20代であれば比較的短期間で妊娠することが多くあります。
つまり42歳でAMHが高い方よりも20代でAMHが低い方の方が妊娠率は高いということです。
しかしAMHを測定しない限り卵巣予備能は予測できませんので、測定したことのない方は是非検査をしていただければと思います。
年齢別AMH値
年齢 | 値 ng/ml |
---|---|
31歳以下 | 6.21ng/mL |
32~33歳 | 5.42ng/mL |
34~35歳 | 4.75ng/mL |
36~37歳 | 3.82ng/mL |
38~39歳 | 3.18ng/mL |
40~41歳 | 2.44ng/mL |
42~43歳 | 1.67ng/mL |
44~45歳 | 1.31ng/mL |
46歳以上 | 1.00ng/mL |
それぞれどうやって治療すればいいの?
-
排卵しない
排卵誘発剤を使用。その人にあった内容を吟味し副作用の少ない方法から開始。年齢が若く、その他(精子・卵管)に異常がない場合は排卵さえ開始すれば比較的短期間で妊娠されることが多い。
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精子が少ない
男性専門外来(土曜午後隔週)で精密検査
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卵管にキャッチされない(ピックアップ障害・卵管閉塞)
生殖補助医療にステップアップ
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受精しない
生殖補助医療にステップアップ
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胚盤胞まで成長しない
生殖時補助医療にステップアップ
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着床しない
着床障害の原因を調べる
(CD138・子宮内フローラ・ERA・EMAA ALICE・免疫学的採血・PGTA) -
卵子自体が加齢している(染色体異常)
卵子自体の治療は難しい。PGTAで移植前に胚を確認する。
排卵→受精→着床(妊娠)まで

着床した後は、孵化し子宮内膜へ潜り込み、妊娠が成立します。
基礎体温上、高温期が2週間以上続いた場合は、妊娠検査薬をお試しください。
診察の流れは?

受付にて、ご持参頂いた保険証、紹介状、持参の検査結果はご提出ください。その後、問診表をお渡ししますので、記載をお願いいたします。

不妊治療が初めての方でも理解しやすい不妊治療の動画を視聴して頂いた上で、医師の診察となります。
当院では、患者様個々にあった治療法をご相談させていただきます。

超音波エコーにて、卵巣、子宮の状態などを確認させて頂きます。患者様もご一緒にエコー画像をご覧に頂けます。
必要であれば、ホルモン採血を行い、治療方針を計画していきます。

医師と相談した治療方針を再度、看護師と確認し、次回の診察、今後のスケジュールを立てていきます。
ご質問はお気軽にお申しつけください。

お会計となります。
次回の予約はネットやお電話、当院の診察機械にて行えます。検査項目によっては、お電話のみの検査もございますので、パンフレットをお読み下さい。
初診の予約について
当院は完全予約制となります。
お電話またはネットにて初診予約ができます。
ご持参頂くもの
- 健康保険証
- 基礎体温表
- 問診表(事前にダウンロードし、記入の上ご持参いただくとスムーズです)
- 紹介状(他院で治療歴がある場合は、必ずご持参ください。)
- 住民票(続柄入りの3ヶ月以内に取得したもの)
*事実婚の場合は、双方の戸籍謄本が必要となります。
電話番号:03-5759-5112