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排卵因子(排卵障害)

排卵因子(排卵障害)

排卵障害とは、排卵させるまでの過程に異常がおき、卵が育たない、また、育ってもうまく排卵できないことをいいます。排卵障害かどうかを簡単に見極める方法は、基礎体温を見ることです。排卵前には卵胞刺激ホルモン(FSH)の影響で体温は下がります。そして黄体化ホルモン(LH)が分泌され、排卵を境に体温は上昇し基礎体温は2相になります。しかし、排卵障害がある場合は2相にはなりません。また、生理不順が続く場合も排卵障害を疑ったほうがいいでしょう。

基礎体温が2相ではなかった場合、血液検査でホルモンの数値を測り、超音波検査で卵巣の状態を見て問題点を探ります。主な原因は中枢性(自律神経に関係している視床下部性と、ホルモンの中枢の下垂体性)の排卵障害や卵巣機能低下、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、黄体機能不全などがあります。その他、黄体化非破裂卵胞(LUF)、高プロラクチン血症も原因のひとつとして考えられます。

以下、それぞれを解説します。

中枢性の排卵障害:視床下部・下垂体性排卵障害

不規則な生活やストレス、極端なダイエット、その他甲状腺機能低下症や下垂体腫瘍によって起こることがあります。原因となっている状態をまず治療する必要があります。また極端な体重減少によって月経が止まってしまっている場合などは、元の体重に近づけ、月経が戻ってくるのを待つことも大事です。排卵誘発剤が必要な場合も多いです。

卵巣機能低下

視床下部や下垂体から命令が出ているのに、「卵胞が大きくならない」、「卵胞がない」など、卵巣が反応しない状態のことを言います。卵巣のなかにある原始卵胞の減少から起こる症状です。原始卵胞のおおまかな数は血液検査でAMHを調べる方法があります。治療方法は、卵胞膜から出るエストロゲンと黄体から出るプロゲステロンを周期的に服用するカウフマン療法などを行ないます。その後、薬の服用を中止して卵巣の状態を確認します。その後の治療法として、エストロゲンを補充しゴナドトロピン(FSH, LH)を抑制し、卵巣が反応したら(卵胞が発育して来たら)、排卵誘発剤であるhMG、hCG注射をします。卵巣に卵胞が残っていれば排卵する可能性があります。20~30代で卵子がなくなる早発卵巣不全も治療法は同様です。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

卵巣内にたくさんの未熟な卵胞ができてしまうことをいいます。文字通り、卵巣に嚢胞がたくさん出来ている状態のことで、中身に水を含んで嚢胞状に変化することで成熟しにくい状態になっています。また、卵巣表面の膜の部分が硬くなり、排卵できなくなっています。生理不順や、体毛が濃くなったりするというのもPCOSの特徴です。治療法は、まずクロミッドなどの比較的軽い排卵誘発剤の服用からスタートし、インスリン抵抗性を改善するメトホルミンの服用、hMG療法とステップアップしていきます。hMG療法では卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の副作用に注意が必要です。

黄体機能不全

高温期が短い場合と、ホルモン検査で黄体ホルモン(プロゲステロン)の濃度が低い場合にそう診断されます。この黄体機能不全は着床障害にも深いかかわりを持っています。うまく排卵してこないために、黄体が誘導されません。排卵障害の結果として起こると考えてよいでしょう。

黄体化非破裂卵胞(LUF)

排卵期のホルモンが分泌され、基礎体温があがっても卵胞が放出されず排卵しないまま残ってしまい、黄体化してしまうことをいいます。毎月起こるとは限らないため、超音波で排卵済みかどうかを毎月確認することが必要です。

高プロラクチン血症

脳下垂体から出されるプロラクチンという乳汁を分泌させる刺激ホルモンが高くなってしまい、乳汁分泌や排卵障害などを起こしてしまう状態を言います。脳下垂体に腫瘍がある場合は手術となりますが、通常はカバサールなどの薬による治療を行ないます。